虎の巻03:御社の研修、効果を測定してますか?

研修には「明確にすべき3つのこと」があるとこれまで話しました。1つ目は「目標」、2つ目は「受講者の現状のスキルや理解度レベル」、では3つ目はなんでしょう?

御社は「効果測定」はしてますか?

さて、研修を企画する際に、「明確にしておくべき3つのこと」のいよいよ最後です

明確にすべきことの3つ目は「効果測定の内容(しくみ)」です
「効果測定」とは「効果があったのか?どれくらいあったか?」を知ることです

まず、研修は「実施するだけ」では意味がありません。当然「効果がある」ことが第一です。しかし、その効果を調べる「効果測定」が、意外に曖昧であるケースが多いのです。

さて、御社は「効果測定」はしてますか?

この質問に対して、多くの研修担当者が、「受講者アンケートをとっています!」と仰られます。

これまで私が登壇した殆どの研修も、「研修受講者アンケート」をとっています。確かに、「受講者アンケート」は「研修の内容(品質)」を測る物差しの1つと言えます。

しかし、それはあくまで「評価の1つ」にすぎない「サブ」であり、「メインではない」と私は思うのです。

アンケートとは「効果」ではなく「感想」にすぎない

アンケートの項目は、基本「~はどうでしたか?」という形式になってます

「今回の研修内容は役に立ちそうですか?」

「テキストはどうでしたか?」

「講師の説明は理解しやすかったですか?」

などです。

これらは、どれも受講者の感想を聞いているだけです

その証拠にアンケート結果は、研修中の「雰囲気」がそのまま現れます。その研修が「楽しかった」「自分に負担がすくなかった」から、良い評価を付ける、ということが多いのです。これでは「効果を測定した」とは言えないですよね・・・

仮に、研修中のワークや演習問題で、間違えた答えを書いた人がいたとします。当然講師は、正しく理解して欲しいために、誤りを指摘したとします。これは当然のことであり、正しいことです。

しかし、「アンケートの評価」は「指摘しない時」よりも悪くなります。
しかも間違いを指摘した人だけでなくて、なんと全体的に落ちるのです。

なぜなら、他人が間違いを指摘されているのを見て、「私も間違った答えを出したら、指摘されるかもしれない」と心配するようになります。その後、緊張して「面白さがなくなり」「自分に負担がかかる」からです。(なので、ベテラン講師は、ただ「誤りを指摘するだけ」にはしません)

また、「グループに気の合わない人がいた」とか「クーラーの真下で寒かった」なんてことが、アンケート結果に反映されます。
確かに、「グループの人とどうでしたか?」「会場は快適でしたか?」という項目の評点が悪くなるのであれば納得します。しかし、それ以外の「研修内容」や「解説の理解度」の項目の評価も下がるのです。

このように、「受講者アンケート」という評価は、あくまで「感想」でしかなく、その値は「研修中の雰囲気や感情」で左右され、「研修の効果そのもの」を評価しているとは言えない測定方法なのです。のです。

「受講者の成長」を計測し、評価する

そもそも研修は「社員や職員の成長」のために行うものです。

ということは、研修後に「メンバーの成長」を計測し、どの程度の成長があったのかを知ることが大事です。
また、その成長度合いを評価し、「今後も実施するのか?」「別の研修(それとも研修以外の教育方法)を取るのか?」を判断すべきなのです

では「何の成長を促すための研修なのか?」

そう、「研修の目標」です

よって、「研修の効果測定」は、「『研修の目標』に対して、どれだけ成長したのかを計測すること」にあるのです

あれ?なんか、前の虎の巻と同じ話じゃないか?!と思ったあなた!!

そうです。その通りです。「研修の効果測定」は、「研修前の受講者のスキルや理解度のレベルを計測する」ことと対になってます

研修後に、「研修前」と対になる「研修後のスキルや理解度のレベルの計測」を行うのです

一番簡単な方法は、「研修前の質問・設問」を「研修後に」もう一度問うことです
これだけで、研修前と研修後の変化が明確になります

「考え方や状況の捉え方、次に想定する行動」などがどう変わったか、一目瞭然です。

しかも、研修前の質問は、「研修の目標」に沿った内容になっているはずです。

ということは研修後に同じ質問をすれば、「想定した目標」に対して、受講者メンバーがどれぐらい達成できたかを明確にすることができます。

目標に対する「達成度」で計測する

研修後に、受講者全員が「研修の目標の全てを達成」できることが望ましいです。
しかし、複数名いる以上、「できる人」と「できない人」は当然生まれます。
また、先ほどのようにビジネススキルの場合「満点」というのはなかなかありません。

そこで、研修の効果は「目標に対する達成度」で計測することになります。

さて「達成度」は、「具体的な数値で表せるものが良い」とよく言われています。
しかし、社員・職員研修の大半を占める「ビジネススキル」では、なかなか難しいものです。

なぜなら、単純な量や時間などでは、達成度を表せない分野だからです。

たとえば・・・
・積極性や集中力などのモチベーション
・コミュニケーション能力や文章作成能力
・問題解決や論理思考などの思考力・判断力
などは、具体的な数値では測れません。

また、これらを強引に数値で測ろうとしたら、余計「おかしいこと」になります。

だから「目標」は、研修後に受講者が身に付けて欲しい、いくつかの「望ましい思考」や「可能になった行動」、「生み出せる結果」をポイントとして分解することになります。そして、達成度は、これらのポイントをいくつクリアしたかを計測するという考えです。
つまり、「目標」という「全体の長さ」を分解して、どこまで達成できたかを表す「目盛り」を作るのです。

このように、研修は、しっかりと効果測定をすべきであり、そのためには研修計画時に「目標に対して、どんなポイントを用意するか」を定義する必要があります。

更に、「効果測定を実施して、研修を振り返ること」は「研修運営の仕組み」に組み込まないとなかなか実現されません。しっかりとスケジュールを組み、研修毎に実施するようにしましょう。

※なお、本文中の「目的」「目標」という言葉の定義・意味は、通常の意味や定義とは、異なっております。これまでお客様との対話から、上記のように定義した方が理解されやすかったためです

今回のチェックポイント
【研修は、効果を測定するポイントと仕組みまで考えるべし】