【実況中継】ビジネス文書作成研修

第4講:
「良いビジネス文書」の性質3:「思いやり」が感じられる

ビジネス文書研修

これまでの復習

「良いビジネス文書の性質」のうち「早く」「正確に」をこれまでお話しました。

今回お話するのは、3つ目の性質「思いやり」です。

さて、ビジネス文書に思いやりなんて必要でしょうか?

ビジネス文書においては、これまでお話した「早く」「正確に」の2つの性質を両立すれば、もう充分なように思えますせんか?

文書の書き方の話の中で、学校の「道徳」の時間(今も「道徳」っていう授業あるのかな?!)にでてきそうな「思いやり」なんて・・・違和感を抱く方もいるかもしれません。

なぜ?「思いやる」が重要なのでしょうか?

これは、読み手を想像するとわかります。

ビジネス文書では「書き手」と「読み手」のどちらが多いか?

さて、「ビジネス文書」は書き手と読み手の人数、どちら多いでしょうか?

意外にこの点に気づいていない方が多いです。読み手の方が多いと思っていませんか?

「世の中のその他の文書」と「ビジネス文書」を同じと捉えていると、読み手の方が多いと思ってしまいます。

例えば、「本」という文書はどうでしょうか?

直ぐに想像できますね。作家よりも読者の方がはるかに多いです。
つまり、「本」の場合は書き手よりも読み手の方が多いということになります。

他にも新聞や雑誌、広告、ネットの記事なんかも、大抵の文書は書き手よりも読み手の方が多いですね。よって、ビジネス文書も「読み手の方が多い」と思うようになります。確かに、ビジネス文書も宛名(誰宛てなのか?)を見ると、一人に対してではなく、上司、同僚、顧客名など、複数である場合が少なくありません。すると書き手一人に対して、読み手は複数いることになります。やはり、読み手の方が多いような気がしませんか?!

ビジネス文書は書き手の方が多い

結論を言えばビジネス文書では「書き手が圧倒的に多い」です。

逆に読み手は一部の人であることがほとんどです。
なぜなら「ある程度権限を与えられた人」が読み手になるからです。

「権限がある立場」になると、とても多くの文書が自分の手元にくるようになります。なぜなら、その文書から状況を判断し、次の命令、判断を行うからです。逆に若手は権限がある人に次の判断を下させるように、文書を書いてつたえるからです。これは立場が上になればなるほど、文書の重要度が高くなり、また読む数も増えます。

つまり、「多くの人が書く文書」を、「ある程度の立場になった人」が読んでいるということです。会社の職位の構造を思えばすぐにわかります。ビジネス文書は読み手に比べて書き手が圧倒的に多いのです。

逆をいえば、読み手の立場になると、一人当たり大量の文書を読むことになるということです。

つまり、「ビジネス文書の読み手」は「大量の文書を読み、処理や決定をしなければならない人」なのです。この「大量に読む人」が「負担なく」「安心して」読め、滞りなく「次の判断を下せる」ことが、3つ目の性質「思いやる」の真意なのです。

ビジネス文書の思いやりとは?

では、ビジネス文書における「思いやり」とはどんなものでしょうか?
当然、思いやる相手は「ビジネス文書の読み手」です。

大きく分けると
・媒体
・フォーマット
・マナーとルール

の3つがあります。

媒体

まず、適切な媒体を選んでいるか?です。
ビジネス文書の媒体は大きく分けて
・紙(もしくはそれをデータ化したもの)
・メール
の2つに分かれます。

この2つを場面に応じて
「読み手が安心でき、行動しやすい媒体は?」と考えてみましょう。
例えば、緊急性の高い文書の場合、紙の文書で書いたらどうでしょうか?
印刷して郵送して相手に届くまでに時間がかかったら、意味がない場合もあります。この場合は、メールを選択した方がいいです。

一方、重要性が高い情報だったらどうでしょう?契約書や請求書などは、メールだけで「ありがとうございました」「○○円です」ではすみませんよね。この場合は紙に印刷し、印鑑を押して、「正式なもの」と相手に伝えわらないといけません。媒体は紙が選ばれるでしょう。

このように読み手が安心するには、それにふさわしい媒体を選ぶということです。

フォーマット

ビジネス文書はフォーマットが決まっています。フォーマットと聞いて、どうでしょうか?好きな人はいないと思います。

まず、ビジネス文書のフォーマットは「成功例」の蓄積されたものと思ってください。

ビジネス文書のフォーマットは我々の先輩方が、何回もビジネス文書を書いて、「これで、情報がそろっていて、なおかつ読みやすく、相手にも失礼がない」実績に基づいたものなのです。

フォーマットに則して書いてあれば、読み手は「これは正式なものだ」と安心・信頼してくれます。
特に社外に出ていく文書に関しては、初めてあなたとコミュニケーションをとる人もいます。あなたの人柄や能力を知らない人が、文書の内容を信頼してくれるには、フォーマットを守ることが大事なのです。

ルールとマナー

フォーマットを守ることもマナーのうちです。
さらに、敬語や挨拶など、ビジネス文書は堅苦しく感じる人もいます。
なぜ、こんな「堅苦しく、めんどくさい」ルールやマナーを守らなければならないのでしょうか?

こう考えてみてください、あなたが、苦労してルールやマナーを守って書いたということを読み手もわかっていると。

「そのめんどくさい書きたかたをしっかり守って書いてくれている」

そう思うだけで、あなたの自分に対する姿勢や態度が伝わります。
あなたも、それほど関係性が深くない人から「やぁ~元気?!」みたいな書き出しの文書をもらったら「大丈夫か?これ」って思いませんか?
実はビジネス文書のルールやマナーは誰でも守れる内容になっています。そうでなければ、長い歴史の中(ビジネス文書のフォーマットの原型は明治時代に決まったそうです)で廃退したはずです。

逆に、決まったルールやマナーを守るだけで、ビジネスでは信頼されるとも言えます。能力を発揮し、人柄を分かってもらえる前に、まずしっかりと守って、「自分は信頼できる人です。安心してください。」と示してしまいましょう。

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