【実況中継】ビジネス文書作成研修
第1講:
「良いビジネス文書」を書くのが難しい理由は?
良いビジネス文書とは、どんな文書なのでしょうか?
さて、「良いビジネス文書とは、どんな文書なのでしょうか?」
それは
「早く正確に読めて、思いやりのある文書」
です。
これは誰もが頷いてくれると思います。
あなたも「そりゃそうだ」「そんなことは分かっている」と言う感想なのではないでしょうか?
何も研修を受けなくても、みんな分かっていること。
しかし、意外に奥の深い一文なのです。
この一文を分解すると
・早く
・正確に
・思いやりがある
の3つの性質が必要というですね。確かに、この3つの性質を持った文書を作れば、ビジネス文書で困ることはありません。困るどころか、上司や同僚、お客様から感謝されますよ!
では、「誰が」早く、正確に、思いやっている文書だと感じなければならないのでしょうか?
大事なのは「読み手にとって」
それは「あなた(書き手)にとって」ではなく「読み手にとって」であることです。良いビジネス文書とは
「読み手」にとって「早く、正確であり、自分が思いやられていると感じる文書」でなければなりません。
本当に単純な3つのポイントですね。しかし、これが難しいんです!!
今まであなたの作成した文書を、読み手に「この文書、早く、正確になってますか?」「あなたのことを思いやっている文書だと思いますか?」って聞いたことありますか?
たぶん、しないですよね。そんなこと。
上司から指摘されることがあっても、自分から文書そのものの出来について、聞いたことがないのではと思います。
その証拠に研修でこんな質問を良くします。
「あなたの職場で読みにくかった、わかりにくかった文書はどんな文書ですか?」
すると、わかりにくい文書を読んだ経験や特徴がどんどん出てきます。
「何遍読んでもわからない」
「書いてあることに間違いがあり、困ったことになった」
「読んで、イライラする文書があった」などなど・・・
実に多くの実例と、それがどんなに酷かったか?どんなに困ったか?
皆さん、経験談、感想が出るは出るは(笑)
つまり、「みんな分かっている」が、一方で「それが全然できていない文書」がたくさん存在するっていうことです。
「良いビジネス文書のチェックポイント」を具体的にする
では、なぜ、こんなにわかりきったことができないのでしょうか?
それは「何故か文書を作成するときに、頭の中から『早く、正確に、思いやること』がどっかに行ってしまう」からです。
あなたが今後「良いビジネス文書」を書くには、
やはり「早く、正確に、思いやった文書」にカギがあります。
作成開始時には、「早く、正確に、思いやった文書」と意識して書き始めます。
しかし、文書作成が進むと、次第に頭の中に占めることは「早く書き終わりたい」という言葉です(笑)。
そして、「早く、正確に、思いやる」という意識は、いつの間にかどっかにいってしまいます。
「働き方改革」が叫ばれる今、短時間で成果を上げることが求められいます。
だから、今後もより一層「早く、完了したい(しなければならない)」状況になるはずです。
私の意見でいえば、「これは、しょうがないこと」なのではと思っています。皆さんが悪いわけではなく、誰もがそうなってしまうこと」なのだと。
では、どうしたらいいのでしょうか?
自然に忘れてしまうのに、どうしたら「早く、正確に、思いやっている」という条件をクリアした文書を作成できるのでしょうか?
それは、「どういう文書が『早く、正確に、思いやった文書』と言えるのかを明確する」にすることです。そうすれば、作成中ないし完了後にチェックすればいいからです。
「なんだよ。そんなことかよ。これまたあたりまえなことでしょ。」
そうです。「あたりまえのこと」なんです。
だから作成した文書が重要であればあるほど、誰もが自分なりにチェックもしていると思います。
しかし、このチェックが曲者なんです。
チェックを本当にしていますか?
「チェックするなんて当たり前」という皆さんに対して、私は研修で、こんな質問をよくしています。
「では、皆さんはどんなことをチェックしてますか?」
すると、まず最初に上がるのは
「誤字脱字をチェック」
です。
誤字脱字のチェックは確かに大事です。でも、それだけでは「早く、正確に、思いやった文書」にはならないですよね。
そして、次に出てくるのが
「もう一度読み直して、おかしいところがないかチェック」
そこで聞きます。
「おかしいところ」ってどんなことですか?
どうなったらおかしいのですか?
すると大抵の返答は
「文法とか、言い回しとか、敬語とかです」
と言われます。
私は更につっこんで質問します。
「では、文法の面では、どんなチェックですか?」
「言い回しって、例えばどんな文ですか?」
「敬語をどうやってチェックしてますか?」
「・・・」
すると、大抵「無言」になります(笑)。
なので、もう一度質問してみます。
「もう一回聞かせてください。あなたは文書が完成した後、どんなチェックをしてますか?」
「・・・結局、黙読してるだけですね」
つまり、「チェックする」ことは「あたりまえ」のことと誰もが思っていますが、
「何をチェックするのか」は曖昧なままなんです。曖昧なチェックをして、その後相手に渡してしまっているのです。
このように「チェックした」と「チェックした結果、達成すべきことを満たしている」には大きく乖離があるのです。
どんな点をチェックすべきかを具体的にして、「できている、できていない」を評価しないといけないのです。そのためにも「良いビジネス文書のチェックポイント」を具体的にすべきなのです。
「では、どんなことを満たしていれば(チェックすれば)いいのか?」これから、具体的に話していきたいと思います。