業務マニュアル作成00:業務マニュアルの作成で、絶対やってはいけないこと

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業務マニュアル作成研修

たくさんのマニュアルを見た感想は・・・

弊社は講師である私が営業もしているので、当然、打ち合わせの最初からお客様のご要望を聞きます。この時、人事研修担当の方だけでなく、実際に「現場でマニュアル作成している方」から「研修前の現状」を伺うこともあります。そして、「ちなみにこれまで作ったマニュアルはこんな感じなんです」と「既存のマニュアル」を見せていただく機会も少なくありません。

だから私もこれまで多くのマニュアルを見て、アドバイスし、自分でも作成してきたので、「マニュアル作成の大変さ」はよくわかっているつもりです。

「これ、時間かかったでしょう?」

と聞くと、皆さん「え~、ま~」と苦笑いされます。

打ち合わせで、マニュアルを見る機会が多いのです

「どれぐらい時間かかりました?」

と聞くと、「大体、○○ぐらいかかりました・・・」とかかった時間を恥ずかしそうに話されます。作成に結構長い時間がかかっているからです。
この時の私の正直な評価は、単に「時間がかかっている」だけを問題とはしません。

私が問題だと思うのは、
「マニュアルの完成度に対して、かかった時間が見合ってない」場合です。

そして、多くの場合が掛けた時間のわりに、出来上がったマニュアルの質が伴っていない!!なんです。

実はこれ、マニュアル作成時にやってしまいがちなある行動パターンが原因なんです。

試しに「○○してませんか?」と聞いてみると、皆さん、面白いぐらいに

「あ、そうです!」

と答えます。

さて、どんな行動パターンでしょうか?

マニュアルの作成で多くの人がやってしまっている失敗パターン

それは何かというと・・・

「いきなり、マニュアルを書き始めている」のです。

マニュアルの作成を担当する社員は、「自分のメイン業務のかたわら」マニュアルを作成することになります。当然、時間も、労力も、制約がある中で作成しなければなりません。結果、マニュアルの作成には「慎重さ」が必要なことが解っていながら、無意識に「急いで」作成しようとしてしまうのです。

PCでWordやExcelを立ち上げて・・・

「まず、表紙は・・・」

「目次のページを作って・・・」

「最初は目的を書こう、『1.○○とは』でいいかな・・・」

と書き始めていきます。

しかし、書き進めるにつれて、「更に詳細に書くべきこと」や「説明に必要な図」、「説明するために最適な文章構成」などいろいろと気づいてきます。その都度、修正が必要になるわけです。

書き進めては、修正・・・

また書き進めては、修正・・・

文章構成(章や項など)の修正の場合、複数ページに渡ることになります。説明文の追加によって、当初描いた図よりも良い図のパターンに気付くこともあります。また図を追加したら、文書全体のレイアウトも変更しなければいけないかもしれません。その度に、時間がかかります。

こうして頭に浮かぶまま、マニュアルを作成すると、「思いつきへの修正」に多くの時間を使ってしまうのです。

マニュアルを「いきなり書き始める」ことは絶対やってはいけないのです。

人の頭はそれほど整理されていない

なぜ、「思いつくまま書く」と修正が増えるのでしょうか?

私は、「人の頭は、整理しないまま記憶できる」からだと思います。

特にビジネス関連の記憶は、「関連する情報が一つのまとまり」で記憶されているのではなく、「自分が覚えやすい順番や構成」で記憶されているのではないかと思います。情報によって「時系列」で記憶しているものもあれば、教えてもらった「人の序列」で記憶しているものもあるのです。

これはビジネスの現場では自分の知識や経験が、後で「何の役に立つか」わかりません。だから様々な構成で記憶しておく方が、多様な場面で記憶を活用できるからなのではと思います。

いきなり書き始め「先頭から完成する」ことは不可能

さて、マニュアルは・・・

・「必要な情報」が揃っている

・「人に伝える構成」に整理されている

・「人が読みやすいデザイン」になっている

この3つ条件が満たされていなければなりません。

「いきなりマニュアルを書き始める」ということは、「マニュアルの先頭から完成していく(3つの条件を満たすように詳細に書きあげていく)」ことになります。

しかし先述のとおり、人の頭の中の情報は、この3つを満たした状態で記憶されているとはかぎりません。しかも、「頭の外」に出してみないと、どのような記憶形態になっているのか自分でもよく分かりません。書き出す度に、改めて「あれ?これって・・・」となるでしょう。

更に、マニュアルの先頭の部分が1度完成したと思っても、その後に続く情報によって、「・・・あれ?この書き方ではダメかも」となり、再度戻ってくることになります。

こうしてマニュアルに書いた情報が増える度に、それまで完成した部分を見直すということになります。

もし、ある程度書き進めた後に、それまでの記述で情報の過不足に気付けばがあれば、あらためて前に戻って削除や追加が必要です。この様な「後で気づいた情報に過不足」は、「文章の書き方」や「章構成」の変更にもつながります。こうしてマニュアルが完成するまでに、何度も「修正作業」を繰り返すのです。

このように「マニュアルの先頭から完成していく」というのは、とても効率が悪いのです。

マニュアルの「設計」の重要性

では、どうすれば良いのでしょうか?
「いきなりマニュアルを書き始める」ではなく、書く前に「マニュアル作成の準備」をしっかりするのです。

・まず、マニュアルに「必要な情報」を順に洗い出します

・洗い出した情報を基に「人に伝える構成」に整理します

・整理した情報をもとに「マニュアルのデザイン」を考えます

このように書く前に3つの条件を満たしてから、あらためて「マニュアルを書き始める」のです。
先頭から条件を満たしていくのでなく、1つの条件を全体で満たしてから、次の条件を満たすように進めるのです。

いわば、建物を建てるまえに、設計図を書いてから建築することに似ています。

マニュアルも作成前に、「設計」が必要なのです。

一見、準備をしっかりする分、いきなり書くより時間がかかるように思えますが、やってみると分かります。準備をしっかりとした方が、マニュアル作成実感は、はるかに短くなるのです。

また、設計時に「メンテナンス」のことも考えてデザインします。マニュアルは、完成後、実際に使われ始めるとメンテナンスする必要が出てきます。この時、メンテナンスを意識して設計してあれば、誰でも容易にマニュアルを保守できます。これが「長生きするマニュアル」に繋がるのです。

マニュアルは、まずしっかりと「準備(設計)」して、それから書いていくことが大事なのです。

次の講義

業務マニュアル作成01:業務マニュアルの作成手順

何故か既存のマニュアルが分かりにくい・・・研修で学びなおしませんか?

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