【実況中継】業務マニュアル作成研修
第1講:
業務マニュアルの作成で絶対やってはいけないこと
たくさんのマニュアルを見た感想は・・・
弊社は講師である私が営業もしているので、当然、打ち合わせの最初からお客様のご要望を聞きます。この時、人事研修担当の方だけでなく、実際に「現場でマニュアル作成している方」から「研修前の現状」を伺うこともあります。そして、「ちなみにこれまで作ったマニュアルはこんな感じなんです」と「既存のマニュアル」を見せていただく機会も少なくありません。
だから私もこれまで多くのマニュアルを見て、アドバイスし、自分でも作成してきたので、「マニュアル作成の大変さ」はよくわかっているつもりです。
「これ、時間かかったでしょう?」
と聞くと、皆さん「え~、ま~」と苦笑いされます。
「どれぐらい時間かかりました?」
と聞くと、「大体、○○ぐらいかかりました・・・」とかかった時間を恥ずかしそうに話されます。作成に結構長い時間がかかっているからです。
この時の私の正直な評価は、単に「時間がかかっている」だけを問題とはしません。
私が問題だと思うのは、
「マニュアルの完成度に対して、かかった時間が見合ってない」場合です。
そして、多くの場合が掛けた時間のわりに、出来上がったマニュアルの質が伴っていない!!なんです。
実はこれ、マニュアル作成時にやってしまいがちなある行動パターンが原因なんです。
試しに「○○してませんか?」と聞いてみると、皆さん、面白いぐらいに
「あ、そうです!」
と答えます。
さて、どんな行動パターンでしょうか?
マニュアルの作成で多くの人がやってしまっている失敗パターン
それは何かというと・・・
「いきなり、マニュアルを書き始めている」のです。
マニュアルの作成を担当する社員は、「自分のメイン業務のかたわら」マニュアルを作成することになります。当然、時間も、労力も、制約がある中で作成しなければなりません。結果、マニュアルの作成には「慎重さ」が必要なことが解っていながら、無意識に「急いで」作成しようとしてしまうのです。
PCでWordやExcelを立ち上げて・・・
「まず、表紙は・・・」
「目次のページを作って・・・」
「最初は目的を書こう、『1.○○とは』でいいかな・・・」
と書き始めていきます。
しかし、書き進めるにつれて、「更に詳細に書くべきこと」や「説明に必要な図」、「説明するために最適な文章構成」などいろいろと気づいてきます。その都度、修正が必要になるわけです。
書き進めては、修正・・・
また書き進めては、修正・・・
文章構成(章や項など)の修正の場合、複数ページに渡ることになります。説明文の追加によって、当初描いた図よりも良い図のパターンに気付くこともあります。また図を追加したら、文書全体のレイアウトも変更しなければいけないかもしれません。その度に、時間がかかります。
こうして頭に浮かぶまま、マニュアルを作成すると、「思いつきへの修正」に多くの時間を使ってしまうのです。
マニュアルを「いきなり書き始める」ことは絶対やってはいけないのです。
人の頭はそれほど整理されていない
なぜ、「思いつくまま書く」と修正が増えるのでしょうか?
私は、「人の頭は、整理しないまま記憶できる」からだと思います。
特にビジネス関連の記憶は、「関連する情報が一つのまとまり」で記憶されているのではなく、「自分が覚えやすい順番や構成」で記憶されているのではないかと思います。情報によって「時系列」で記憶しているものもあれば、教えてもらった「人の序列」で記憶しているものもあるのです。
これはビジネスの現場では自分の知識や経験が、後で「何の役に立つか」わかりません。だから様々な構成で記憶しておく方が、多様な場面で記憶を活用できるからなのではと思います。
いきなり書き始め「先頭から完成する」ことは不可能
さて、マニュアルは・・・
・「必要な情報」が揃っている
・「人に伝える構成」に整理されている
・「人が読みやすいデザイン」になっている
この3つ条件が満たされていなければなりません。
「いきなりマニュアルを書き始める」ということは、「マニュアルの先頭から完成していく(3つの条件を満たすように詳細に書きあげていく)」ことになります。
しかし先述のとおり、人の頭の中の情報は、この3つを満たした状態で記憶されているとはかぎりません。しかも、「頭の外」に出してみないと、どのような記憶形態になっているのか自分でもよく分かりません。書き出す度に、改めて「あれ?これって・・・」となるでしょう。
更に、マニュアルの先頭の部分が1度完成したと思っても、その後に続く情報によって、「・・・あれ?この書き方ではダメかも」となり、再度戻ってくることになります。
こうしてマニュアルに書いた情報が増える度に、それまで完成した部分を見直すということになります。
もし、ある程度書き進めた後に、それまでの記述で情報の過不足に気付けばがあれば、あらためて前に戻って削除や追加が必要です。この様な「後で気づいた情報に過不足」は、「文章の書き方」や「章構成」の変更にもつながります。こうしてマニュアルが完成するまでに、何度も「修正作業」を繰り返すのです。
このように「マニュアルの先頭から完成していく」というのは、とても効率が悪いのです。
マニュアルの「設計」の重要性
では、どうすれば良いのでしょうか?
「いきなりマニュアルを書き始める」ではなく、書く前に「マニュアル作成の準備」をしっかりするのです。
・まず、マニュアルに「必要な情報」を順に洗い出します
・洗い出した情報を基に「人に伝える構成」に整理します
・整理した情報をもとに「マニュアルのデザイン」を考えます
このように書く前に3つの条件を満たしてから、あらためて「マニュアルを書き始める」のです。
先頭から条件を満たしていくのでなく、1つの条件を全体で満たしてから、次の条件を満たすように進めるのです。
いわば、建物を建てるまえに、設計図を書いてから建築することに似ています。
マニュアルも作成前に、「設計」が必要なのです。
一見、準備をしっかりする分、いきなり書くより時間がかかるように思えますが、やってみると分かります。準備をしっかりとした方が、マニュアル作成実感は、はるかに短くなるのです。
また、設計時に「メンテナンス」のことも考えてデザインします。マニュアルは、完成後、実際に使われ始めるとメンテナンスする必要が出てきます。この時、メンテナンスを意識して設計してあれば、誰でも容易にマニュアルを保守できます。これが「長生きするマニュアル」に繋がるのです。
マニュアルは、まずしっかりと「準備(設計)」して、それから書いていくことが大事なのです。
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何故か既存のマニュアルが分かりにくい・・・研修で学びなおしませんか?
研修では上記をじっくりと説明し、実施できるようにアドバイスします。